シマアメンボ 長翅型と無翅型
シマアメンボは流れのある細流などに棲む流水性のアメンボです。このアメンボは成虫でも翅がない無翅型がほとんどなのですが、秋には少数の長翅型が出現します。この翅は飾りではなくて、ちゃんと飛翔することができます。飛んで逃げられたことがありますので・・orz

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通常の無翅型シマアメンボ


長翅型が出るとはいっても、無翅型に比べるとその割合はかなり少ないのが普通です。しかし、上流のかなり急峻な細流ででシマアメンボを掬ったら、4個体網に入ったうちの3個体が長翅型でした。

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長翅型シマアメンボ。前胸背の形状もシャープに変形!


むむ・・まさかこの流域では長翅型が優先してるのだろうか?
しかし、数十メートルしか離れていない本川では40個体以上掬っても長翅型は1個体だけしか混じりません。さっきのは運が良かっただけなのでしょうか・・?

ここである考えが頭に浮かびました。翅を持たない通常のシマアメンボにとって、落差の激しい細流の上部は到達することがきっと困難なハズです。しかし、空を飛べる長翅型なら話は別なんジャマイカ。と。

それを確かめようと、別の急峻な細流を上っていくことにしました。採れる個体をチェックしていくと・・。

長翅・・・無翅・・・無翅・・・長翅・・・長翅。。。

むむむ・・明らかに本川とは割合が違うようです。
偶然かもしれませんが、この結果はちょっと面白いと感じました。
もうそろそろシマアメンボも水域から姿を消す頃ですので、長翅型を見てみたいというマニアックな方はお早めに。
  
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茨城県の海岸で採集された外洋性ウミアメンボについて
外国の話は分かりませんが、日本人に最もなじみが深く、目に付きやすい水生昆虫の一つはアメンボではないでしょうか?老若男女、アメンボの名前を知らない人はいないほど、一般にもよく知られた超メジャー(人気があるという意味ではない・・・orz)な昆虫です。

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全国津々浦々、市街地から山間部まで広く見られるヒメアメンボ。

ところが、人の目に最も付きにくい昆虫の一つもまたアメンボなのです。
ヒメアメンボのように陸水で暮らす種類がいる一方、一部の種類は海上にまで進出しました。いわゆるウミアメンボと呼ばれるグループで、さらに沿岸性の種類と外洋性の種類がいます。とくに外洋性ウミアメンボ類は、”最も遠洋にまで進出した昆虫”などと呼ばれ、陸の見えない大海のど真ん中で暮らす、とんでもない変わりダネなのです。
つまり、正攻法で外洋性ウミアメンボを採集しようと思ったら、遠洋を行く船にプランクトンネットでも引いて貰うしかない、というワケです。

しかし、ごく稀にですが、陸にいながら彼らを採集するチャンスがあります。台風などによって、海が大荒れになると、荒波と強風に吹き寄せられたウミアメンボたちが海岸に打ち上げられることがあるのです。

以下、2005年9月26日、台風17号が通過した翌日に茨城県の海岸で採集された外洋性ウミアメンボの記録です。
その日はまだ、強風が海から陸に向かって吹きつけており、波打ち際には「波の花」と呼ばれる石鹸の泡状の生成物が吹き寄せられていました。波の花は、海中の植物性プランクトンの粘液が荒波にもまれて泡状になったものだそうです。

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波の花。石鹸の泡のように見えますが服に付くとべっとり汚れます。

ウミアメンボはその泡に絡め取られる様にして打ち上げられていました。

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最も遠洋にまで進出した昆虫_その1


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外洋を手に入れた唯一の昆虫_その2


これまでに日本から記録のある外洋性ウミアメンボは、センタウミアメンボ、コガタウミアメンボ、ツヤウミアメンボの3種です。このときは、同日同所で3種類とも一度に採集することができました。これは本当に輪をかけてラッキーなことでした。ちなみに漂着した個体は半数がすでに死亡、残りの半数が虫の息(←昆虫に使うと違和感がありますね・・)でした。採集個体の内訳は、センタ31♂25♀、コガタ5♂7♀、ツヤ4♂2♀、センタと思われる幼虫4個体です。

13.jpg
センタウミアメンボ(左:♂、右:♀)
国内分布:伊豆諸島、紀伊半島沖、太平洋、東シナ海、日本海



12.jpg
コガタウミアメンボ(左:♂、右:♀)
国内分布:日本海、太平洋、東シナ海



14.jpg
ツヤウミアメンボ(左:♂、右:♀)
国内分布:太平洋


この年以降、台風の通過後は可能な限り海岸に出かけて観察を行っていますが、まだ追加が得られたことはありません。観察を続けていくうちに、もしかすると打ち上がる条件の一つに、ウミアメンボの動きを奪う波の花の発生があるのではないか?と考えるようになりました。その答えは、次の漂着を待つしかありませんが、大量漂着したとき以降、波の花の発生も見ていないのです。

外洋性ウミアメンボの海岸での採集例については、盛口満さんの「ゲッチョ昆虫記―新種はこうして見つけよう」にも詳しく書かれています。ウミアメンボ以外にも面白いエピソードがいろいろ載っているので、興味のある方は一度手にとって見てはいかがでしょうか。
外洋性ウミアメンボについて、その本の一節にこう書かれています。

「これを採ってなんぼですよ、虫屋は。これ採れないと死ねないですよ」
盛口満 著「ゲッチョ昆虫記―新種はこうして見つけよう」 より引用

・・なるほど。もう安心して死ねるって事ですね!

ちなみにカミキリ屋さんはアオキクスイを採ると死ぬそうですw

  
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